2020年度学会賞

松本光太郎(茨城大学)「老いと外出 : 移動をめぐる心理生態学」(新曜社、2020)

受賞理由:現代日本社会でますます重要性の増す特別養護老人ホームを、ボランティアとして200回以上訪問し、高齢者に「立ち会う」ことによって、行動科学ではない、生態学的な視点で、老いのとらえ方を変えている。居住者と物理的環境、居住者と人的環境、さらに制度を含む社会的環境との関係や営みについて綿密にわかりやすく描かれており、読み進めるにつれて、高齢者が生きている生活環境がリアルに浮かび上がってくる。とりあげた事例や現象を、人間・環境学の各種理論や視点を用いて解説しており、人間と環境との関係性を扱う理論の普及にも貢献する優れた作品である。

功労賞

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2020年度功労賞