2022年度学会賞

高山範理(国立研究開発法人森林研究・整備機構)・辻木勇二(フォレストデジタル株式会社)「デジタル森林浴の生理・心理的な効果及び回復特性の解明及び成果の普及啓発・実践活動」

受賞理由:本研究活動は、長年の「森林空間利用と心身の健康」に関する研究の積み重ねの上に立って、ベンチャー企業との共同による「デジタル森林浴」の生理・心理的な効果及び回復特性の解明及び成果の普及啓発・実践活動を行ったものである。デジタル森林浴は、風景・音・香りといった森林環境の有するアメニティを再現するデジタル技術(空間型VRシステム)を活用する独創的なものであり、その体験前後の「生理・心理的効果」と環境側の有する「回復特性」の特徴を明らかにし、リアルな森林環境とかなり近い回復特性があることを示している。さらにその成果を生かしてデジタル森林浴の普及・実践活動を各地で展開し、自然環境要素の都市部への導入や、人の心身の健康増進、地域の観光振興に資することを実証している。このデジタル森林浴は、社会実装する上でより詳細な検討が求められるものの、都市生活や医療福祉など様々な課題解決の場面において活用できる可能性を秘めており、今後の発展が期待される。
以上のように、本研究実践活動を人間・環境学会の学会賞として賞することは、社会的にも対外的にも意義があることと考える。

撮影:高山範理