第129回研究会「学校リノベーションの情報を提供し教育の成功を支えるデジタル・プラットフォーム-カナダ・ケベック州公立小中学校2700校の施設更新への挑戦」のご案内

A Digital Platform to Inform School Renovation to Support Education Success -The challenge of serving 2700 elementary and secondary public schools in Quebec, Canada

カナダ・ケベック州には72の教育委員会が管轄する2700校を超える公立小中学校があり、その大半が戦後の1948年~1973年に建設されたもので、リノベーションが必要な状況にあります。州政府はこれら学校施設の状態の劣化とスペース不足を把握すると、教育の成功という使命は、質の高いインフラによって支えられなければならないとの方針を打ち出し、州教育省で10年間に139億カナダドル(1兆4600億円)を投入する計画が開始されました。
2016年にラヴァル大学建築学部の教授陣が同省のインフラストラクチャー課に招かれ、この使命を達成するためのガイドラインをどのように策定できるかを議論しました。1年後には研究共同体組織Scholaが設立され、活動資金として250万カナダドル(約2億7千万円)が助成されました。こうして、デザイン、建築、心理、教育の専門家が集まり、学校施設のリノベーション・プロジェクトに参加する全てのアクター(教育委員会技術支援部門、学校管理者、教諭、建築家、学校代表者など)が共有できるデジタル・プラットフォームを開発することになりました。このプラットフォームは、信頼性の高い、その土地固有の知見ばかりではなく、世界で得られたエビデンスも提供し、地域や段階によって違ってくる意思決定に対応しつつそれをサポートするものです。
Scholaは2018年にこの研究プロジェクトに着手し、昨年12月に完了したばかりです。プラットフォームはプログラミングの最終段階にあり、2025年秋に正式に利用開始を予定しています。今回、Scholaの研究とアクション・プログラムを率いてこられたCarole Després教授をお迎えし、ケベック州の義務教育と学校デザインを概説してもらいつつ、デジタル・プラットフォームのデモンストレーションをしてもらいたいと思います。デモンストレーションではデジタル・プラットフォームがどのように使われるのかや、科学的エビデンスを収集しそれらを意思決定の道具に組み込む方法が紹介される予定です。

日本にもケベック州と同様にリノベーションの必要な公立小中学校が数多くあります。そこでこの機会に次のような点を議論できればと思います。
・学校の施設更新におけるアクター参加にプラットフォームはどのように効果を発揮するのか。
・学校建築に関わる人間・環境研究のこれまでの蓄積をどのように整理・取捨選択・解釈してプラットフォームと紐づけたのか。
またこうしたデジタル・プラットフォーム構築の試みは環境デザインの分野では先進的な例でもあります。
・プラットフォームのフレームワークやプロセスは現実のプロジェクトにどのくらい適合しているか。
・異なる地域、異なる段階での意思決定をサポートするのに、プラットフォームがどのくらい容易に利用できて、知識が効果的に伝達されているか?
・デジタルな画面上でどのように表現されているのか。
・新しく行われたリノベーションの記録・研究はどのようにプラットフォームに反映されるのか。
そして
・どのようにプラットフォームづくりを進めることで成果につながるのか。
・人間・環境研究者はプラットフォーム構築を通してこれからの学校リノベーションの政策の環境デザインにどう貢献できるのか。
ご関心の皆さまのご来場をお待ちします。

※ご講演は英語で行われます。質問の際にはご参加の有志の方よりの英語訳の支援を歓迎いたします

■日時:2025年4月19日(土)10:00~12:00
■会場:東京大学駒場Iキャンパス15号館104号講義室
住所:東京都目黒区駒場3-8-1
https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/about/visitors/maps-directions/index.html

■研究会プログラム
□主旨説明:横山ゆりか(東京大学)
□講演:Carole Després教授(カナダ・ケベック州 ラヴァル大学)
□質疑応答:
ファシリテーター:伊藤俊介(東京電機大学)・横山ゆりか(東京大学)

■研究交流会(軽食付き(会費2000円))を研究会終了後に開催します。

■参加費:
会員・学生(研究会のみ):無料
非会員(研究会のみ):1,000円
会員・学生(研究会・研究交流会):2,000円
非会員(研究会・研究交流会):3,000円

■申込方法:Peatixサイト(https://mera-129symposium.peatix.com/view)で参加登録フォームに必要事項を入力してください。

■支払い締め切り:
研究会:4月19日(土) 10時30分
研究交流会:4月9日(水)23時59分(厳守)

研究交流会の締め切りは4月9日中ですが、サイトのシステム上、4月10日以降も会員・学生(研究会・研究交流会)と非会員(研究会・研究交流会)のチケットの申し込みができます。準備の都合上、4月9日を研究交流会の締め切りとしますので、4月10日以降は会員・学生(研究会のみ)もしくは会員(研究会のみ)のチケットを選択してください。